学研全訳古語辞典 |
や・む 【止む】
活用{ま/み/む/む/め/め}
①
おさまる。やむ。
出典土佐日記 一・一六
「風・波やまねば、なほ同じ所に泊まれり」
[訳] 風や波がおさまらないので、やはり(昨日と)同じ所に停泊している。
②
途中で終わる。なくなる。起こらないままで終わる。とりやめとなる。
出典竹取物語 かぐや姫の生ひ立ち
「翁(おきな)、心地あしく、苦しき時も、この子を見れば、苦しきこともやみぬ」
[訳] (竹取の)翁は、気分が悪く、苦しいときでも、この子を見ると、苦しいこともなくなってしまう。
③
(病気が)なおる。(気持ちが)おさまる。
出典平家物語 三・赦文
「法皇、御憤(いきどほ)りいまだやまず」
[訳] 法皇は、お怒りがまだおさまらない。
④
死ぬ。死亡する。
出典源氏物語 手習
「すべて朽木(くちき)などのやうにて、人に見捨てられて、やみなむ」
[訳] なにもかも、(山奥の)枯れて腐った木などのような状態で、人に見捨てられて、死んでしまおう。
活用{め/め/む/むる/むれ/めよ}
①
終わらせる。とりやめる。やめる。
出典源氏物語 賢木
「遊びはみなやめて」
[訳] 管弦の会をすっかり終わらせて。
②
治す。
出典枕草子 さかしきもの
「かい拭(のご)ひたるやうにやめ奉りたりしかば」
[訳] きれいにふき取ったように、(病気を)治し申し上げたので。
や・む 【病む】
活用{ま/み/む/む/め/め}
①
病気になる。病気で苦しむ。
出典徒然草 五三
「からき命まうけて久しくやみ居たりけり」
[訳] あやうい命を助かって、長い間病気で苦しんでいた。
②
思い悩む。
出典万葉集 三三二九
「恋ふれかも胸のやみたる」
[訳] 恋しているからか、胸が思い悩んでいる。
活用{ま/み/む/む/め/め}
①
病気におかされる。体を悪くする。
出典源氏物語 空蟬
「をととひより腹をやみて、いとわりなければ」
[訳] おとといから腹を悪くして、どうにもがまんできないので。
②
心配する。思い悩む。(心を)痛める。
出典伊勢物語 五
「いといたう心やみけり」
[訳] (男のよこした和歌に女は)たいそうひどく心を痛めた。
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