学研全訳古語辞典 |
よをすてて…
分類和歌
「世を捨てて山に入いる人山にてもなほ憂き時はいづちゆくらむ」
出典古今集 雑下・凡河内躬恒(おほしかふちのみつね)
[訳] 俗世を捨てて山に入ってしまう人は、山に住んでもまだつらいことがあった時には、どこへ行くのだろうか。
鑑賞
詞書に、山にいる法師のもとに送った歌とある。俗世のつらさから逃れるため仏門に入り山で修行する僧は、それでもなお心が晴れない時は、どこへ行くのかと疑問を投げかけた歌。結局、どこへ行っても、世のつらさから逃れることはできないのではないかと、いささか揶揄(やゆ)した感じだが、山で孤独な生活をする僧のつらい気持ちを、思いやったものという解釈も成り立つであろう。
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