学研全訳古語辞典 |
わがこころ…
分類和歌
「わが心なぐさめかねつ更級(さらしな)や姨捨山(をばすてやま)に照る月を見て」
出典古今集 雑上・よみ人知らず・大和物語一五六
[訳] 私の心を慰めることはできなかった。更級にある、月で有名な姨捨山に照る月を見ても。
鑑賞
信濃(しなの)の国(長野県)の姨捨山(おばすてやま)は、月の名所として名高い。名所の月を見て、沈んだ心を少しでも慰めようとしたのだろう。更級方面を旅した者の、旅の感傷を詠んだ歌と思われる。「かね」は不可能を表す語で、「つ」は意志的な動作に付く完了の助動詞。『大和物語』一五六段は、この歌を中心にした物語で、この山に老母を捨てた男が詠んだ歌だとしている。
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