学研全訳古語辞典 |
わき 【別き・分き】
①
区別。けじめ。
出典万葉集 二五三六
「息の緒(を)に妹(いも)をし思へば年月の行くらむわきも思ほえぬかも」
[訳] 命をかけてあなたを恋しているので年月が流れて行く(ような)けじめもわからないことだなあ。
②
分別。思慮。
出典大鏡 序
「我は子生むわきも知らざりしに」
[訳] 私は(独身で)子供を持つ思慮も感じなかったが。
わき 【脇・腋】
①
体のわき。わきの下。また、衣服の体のわきに当たる部分。
②
かたわら。横。
出典今昔物語集 一四・三五
「中門のわきに終日(ひねもす)居たりつる」
[訳] 中門の傍らで一日中すわっていた。
③
能・狂言で、シテ(=主役)の相手役。ふつう「ワキ」と書く。[反対語] 仕手(して)。
④
「脇句(く)」の略。
⑤
別の所。また、別の人。
出典心中天網島 浄瑠・近松
「お前はどこぞわきで遊んで下さんせ」
[訳] お前様はどこか別の所で遊んで下さい。
⑥
二の次。のけもの。
出典好色一代女 浮世・西鶴
「本妻をわきになして思ふままなる長枕(ながまくら)」
[訳] 本妻をのけ者にして思いどおりの(二人寝の)長枕。
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