学研全訳古語辞典 |
ふく-・す 【伏す】
活用{せ/し/す/する/すれ/せよ}
従う。服従する。
出典徒然草 二一四
「その夷(えびす)漢にふくして」
[訳] その蛮族が漢の国に服従して。
ふ・す 【伏す・臥す】
活用{さ/し/す/す/せ/せ}
①
横になる。寝る。
出典今昔物語集 二八・四二
「夫はいまだふしたりけるに、妻起きて」
[訳] 夫はまだ寝ていたが、妻は目覚めて。
②
うつぶす。うつむく。
出典竹取物語 かぐや姫の昇天
「…と泣きてふせれば、心、惑ひぬ」
[訳] …と泣いてうつぶしたので、(かぐや姫の)心は困惑した。
③
ひそむ。隠れる。
出典後拾遺集 恋一
「鴫(しぎ)のふす刈田に立てる稲茎(いながら)の」
[訳] しぎがひそむ刈り取った後の田に立っている稲茎の。
活用{せ/せ/す/する/すれ/せよ}
①
腹ばいにする。うつぶせにする。
出典平家物語 八・名虎
「名虎(なとら)をとってふせんとす」
[訳] 名虎(=人名)をつかんでうつぶせにしようとする。
②
横たえる。倒す。
出典万葉集 五〇〇
「神風(かむかぜ)の(=枕詞(まくらことば))伊勢の浜荻(はまをぎ)折りふせて」
[訳] 伊勢の浜辺の荻を折り倒して。
③
寝かせる。床につかせる。
出典枕草子 かしこきものは
「親の前にふすれば、ひとり局(つぼね)にふしたり」
[訳] (乳母が子に添って)親の前に寝かせるので、(乳母の夫は)一人で部屋に寝ている。
④
ひそませる。隠す。
出典古今集 恋三・詞書
「よごとに人をふせてまもらすれば」
[訳] 毎晩人をひそませて警備させるので。
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