学研全訳古語辞典 |
しゅく 【宿】
①
宿駅。宿場。
出典猿蓑 俳諧
「梅若菜(わかな)鞠子(まりこ)のしゅくのとろろ汁―芭蕉」
[訳] 江戸へ下られるあなたの道中、路傍には梅が美しく花開き、畑の若菜も緑鮮やかであろう。そして、途中の鞠子の宿場には、名物のとろろ汁もある。
②
やどや。旅宿。
③
星宿。星座。
や-ど 【宿・屋戸】
①
家。家屋。
出典万葉集 四八八
「君待つとわが恋ひをればわがやどの簾(すだれ)動かし秋の風吹く」
[訳] ⇒きみまつと…。
②
戸。戸口。入り口。
出典万葉集 一〇一三
「あらかじめ君来(き)まさむと知らませば門(かど)にやどにも珠(たま)敷かましを」
[訳] 前もってあなたがおいでになるとわかっていましたなら、門にも戸口にも珠を一面に敷いたでしょうに。
③
庭。庭先。前庭。
出典古今集 秋下
「秋は来(き)ぬ紅葉(もみぢ)はやどに降りしきぬ道踏み分けて問ふ人はなし」
[訳] 秋が来た。紅葉は庭にいっぱい散ってしまった。しかし、その道を踏み分けて私を訪れ人は一人もいない。
④
旅先の宿。▽一時的に泊まる家のことをさす。
出典笈の小文 俳文・芭蕉
「草臥(くたび)れてやど借(か)るころや藤(ふぢ)の花―芭蕉」
[訳] ⇒くたびれて…。
⑤
主人。あるじ。
出典浮世風呂 滑稽
「わたしのやどが五十の賀」
[訳] わたしの主人が五十歳のお祝いで。
宿のページへのリンク |