学研全訳古語辞典 |
もん 【文】
①
文(ぶん)。文章。多く、漢詩や漢文についていう。また、学問。
出典今昔物語集 一〇・二四
「我、もんを学せむと思ふといへども」
[訳] 自分は学問を学ぼうと思うといっても。
②
「経文(きやうもん)」「呪文(じゆもん)(=まじないに唱える文句)」の略。
出典太平記 二四
「口にもんを呪(じゆ)したるに」
[訳] 口に呪文をとなえたところ。
ふみ 【文・書】
①
書物。文書。漢籍。
出典枕草子 うつくしきもの
「男児(をのこご)の、声は幼げにてふみ読みたる、いとうつくし」
[訳] 男の子が、声はいかにも幼そうなようすで漢籍を読んでいるのは、とてもかわいらしい。
②
手紙。
出典金葉集 雑上
「大江山(おほえやま)いく野の道の遠ければまだふみもみず天(あま)の橋立(はしだて)」
[訳] ⇒おほえやま…。
③
学問。漢学。
出典徒然草 一
「ありたきことは、まことしきふみの道」
[訳] 身につけたいことは、正式な学問の道。
④
漢詩。
出典枕草子 木の花は
「唐土(もろこし)には限りなきものにて、ふみにも作る」
[訳] (梨(なし)の花は)中国ではこの上なくすばらしいものとして、漢詩にも作る。
参考
「文」はふつうの手紙以外に、恋文の意味でも使われる。恋文を意味する言葉に「懸想文(けさうぶみ)」があるが、恋文はふつう和歌の形式をとる。もらった歌に対する返事を「返し(歌)」という。
ぶん 【文】
文章。詩文。また、書物。
-もん 【文】
①
銭貨の単位。一文は一貫の千分の一。
②
足袋の大きさの単位。底の長さで測り、一文は八分(ぶ)(=約二・四センチ)。▽一文銭の直径を基準とするところから。
もん 【紋・文】
①
模様。あや。
②
紋所。家紋。
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