学研全訳古語辞典 |
あさ・し 【浅し】
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
①
浅い。▽深さや距離があまりない。また、時間がたっていない。
出典山家集 中
「春あさき篠(すず)の籬(まがき)に風さえてまだ雪消えぬ信楽(しがらき)の里」
[訳] 春が浅く、篠(しの)竹の垣根に風が冷たく冴(さ)えて、まだ雪が消えない信楽の里よ。
②
情が薄い。考えが浅い。いいかげんだ。
出典発心集 六
「あさからぬ所望はべるを」
[訳] いいかげんでない望みがございますのを。
③
平凡だ。情趣が少ない。
出典源氏物語 若紫
「これはいとあさく侍(はべ)り」
[訳] この景色はたいそう平凡でございます。
④
(色や香りが)薄い。
出典大和物語 六一
「藤(ふぢ)の花色のあさくも見ゆるかな」
[訳] 藤の花よ、花の色が薄く見えるなあ(=ご寵愛(ちようあい)が薄れたことよ)。
⑤
低い。▽身分や家柄についていう。
出典源氏物語 梅枝
「位あさく、何となき身の程」
[訳] 位が低く、なんということもない身分のほど。
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