学研全訳古語辞典 |
きよ・し 【清し】
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
①
澄んで美しい。
出典万葉集 六七一
「月読(つくよみ)の光はきよく照らせれど」
[訳] 月の光は澄んで美しく輝いているが。
②
(景色が)美しく、すがすがしい。清らかだ。
出典万葉集 九二五
「ぬばたまの(=枕詞(まくらことば))夜(よ)の更け行けば久木(ひさき)生ふるきよき川原に千鳥(ちどり)廔(しば)鳴く」
[訳] ⇒ぬばたまの…。
③
神聖だ。清浄だ。
出典万葉集 三二二三
「神名火(かむなび)のきよき御田屋(みたや)の」
[訳] 神名火山のふもとの神聖な神の田を守る小屋の。
④
(心に)けがれがない。潔白だ。
出典沙石集 九
「心は、きよく素直なるべきものなり」
[訳] 心は、けがれなく素直でなければならないものである。
⑤
〔連用形を副詞的に用いて〕きれいさっぱりだ。
出典枕草子 うれしきもの
「常におぼえたることも、また、人の問ふに、きよう忘れてやみぬる折ぞ多かる」
[訳] いつもは覚えていることも、改めて、人が尋ねたとき、きれいさっぱり忘れてそのままになってしまうことが多い。◇「きよう」はウ音便。
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