学研全訳古語辞典 |
あぶ・る 【溢る】
活用{れ/れ/る/るる/るれ/れよ}
①
散らばる。
出典平家物語 二・烽火之沙汰
「あぶれゐたる兵(つはもの)ども」
[訳] 散らばっていた兵士たち。
②
落ちぶれてさまよう。
出典源氏物語 東屋
「世にあぶれむも」
[訳] 世の中で落ちぶれてさまようようなのも。◆「あふる」とも。
はふ・る 【溢る】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
あふれる。
出典万葉集 二八三三
「葦鴨(あしがも)のすだく池水はふるとも」
[訳] かもが群がり集まる池の水があふれても。
こぼ・る 【零る・溢る】
活用{れ/れ/る/るる/るれ/れよ}
①
(水などが)あふれ出る。こぼれる。
出典伊勢物語 六二
「涙のこぼるるに」
[訳] 涙があふれ出て。
②
散り落ちる。
出典後撰集 春上
「梅の花折ればこぼれぬ」
[訳] 梅の花は枝を折ると花びらが散り落ちてしまう。
③
(衣服の裾(すそ)などが)余ってはみ出る。
出典枕草子 こころゆくもの
「乗りこぼれて」
[訳] (車から)衣服がはみ出して。
④
(表情などが)表面にあらわれ出る。
出典源氏物語 紅葉賀
「愛敬(あいぎやう)こぼるるやうにて」
[訳] 魅力があらわれ出るようなようすで。
溢るのページへのリンク |