学研全訳古語辞典 |
もの-まう・す 【物申す】
活用{さ/し/す/す/せ/せ}
①
(言葉に出して)申し上げる。▽「物言ふ」の謙譲語。
出典古今集 雑体
「うちわたす遠方人(をちかたびと)にものまうす我そのそこに白く咲けるは何の花ぞも」
[訳] はるかに見渡す遠くにいる方に申し上げる、私は。そのそこに白く咲いているのは何の花であるかと。
②
(神仏に)願い事を申し上げる。
出典枕草子 こころゆくもの
「神・寺などにまうでてものまうさするに」
[訳] 神社や寺などに参詣(さんけい)して願い事を申し上げさせるときに。
③
〔多く下に推量の助動詞「う」「む」を伴って〕ごめんください。もしもし。▽案内を請うたり、呼びかける語。
出典宇治拾遺 一・一二
「『ものまうしさぶらはん。おどろかせ給(たま)へ』と言ふを」
[訳] 「もしもし。お起きになってください」と言うのを。◆「ものまをす」の変化した語。
もの-まを・す 【物申す】
活用{さ/し/す/す/せ/せ}
「ものまうす」に同じ。
出典万葉集 三八五三
「石麻呂(いはまろ)にわれものまをす夏瘦(なつや)せに良しといふ物そ鰻(むなぎ)捕り食(め)せ」
[訳] 石麻呂さんに私は申し上げる、夏瘦せに良いというものです。うなぎを捕ってお食べください。◆上代語。
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