学研全訳古語辞典 |
き・す 【着す】
活用{せ/せ/す/する/すれ/せよ}
①
身に着けさせる。着せる。置く。
出典古事記 景行
「太刀佩(は)けましを衣(きぬ)きせましを」
[訳] (一本松が人なら)太刀を腰におびさせるだろうに、着物を身に着けさせるだろうに。
②
(恩・恨みなどを)こうむらせる。受けさせる。
出典猿源氏草紙 御伽
「果てなば、長き怨(うら)みをきすべし」
[訳] 死んでしまうと、長い恨みを受けさせるであろう。
け・す 【着す・著す】
活用{さ/し/す/す/せ/せ}
お召しになる。▽「着る」の尊敬語。
出典古事記 景行
「汝(な)がけせる襲(おすひ)の裾(すそ)に」
[訳] あなたがお召しになっている上着の裾に。◆上代語。
参考
上一段動詞「着る」の未然形に、尊敬の四段型助動詞「す」が付いて一語化し、変化したもの。
ちゃく-・す 【着す・著す】
活用{せ/し/す/する/すれ/せよ}
到着する。着く。
出典古今著聞集 四九
「舟をになひて岸にちゃくしけり」
[訳] 舟をかついで岸に着いた。
活用{せ/し/す/する/すれ/せよ}
着る。着用する。
出典保元物語 上
「上北面(しやうほくめん)は水干袴(すいかんはかま)に腹巻をちゃくす」
[訳] 上北面の武士は水干袴に腹巻を着用する。
ぢゃく-・す 【着す・著す】
活用{せ/し/す/する/すれ/せよ}
執着する。
出典今昔物語集 一・一八
「その愛欲にぢゃくして、仏法を信ぜず」
[訳] その愛欲に執着して仏法を信じない。
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