学研全訳古語辞典 |
ゆくえ 【行く方】
⇒ゆくへ
ゆく-かた 【行く方】
①
進んで行く方角。行く先。
出典竹取物語 蓬莱の玉の枝
「いろいろの病(やまひ)をして、ゆくかたそらも覚えず」
[訳] いろいろな病気をして、行く先すらもわからず。
②
心を晴らす方法。やるかた。
出典古今集 物名
「夏草の上は茂れる沼水の(=序詞(じよことば))ゆくかたのなきわが心かな」
[訳] 夏草が表面に生い茂った沼の水がどこへも行きようがないように、やるかたのない私の気持ちであるよ。◆「ゆくがた」とも。
ゆく-へ 【行く方】
①
進んで行く方向。
出典万葉集 二六四
「網代木(あじろき)にいさよふ波のゆくへ知らずも」
[訳] ⇒もののふのやそうぢがはの…。
②
行き先。
出典隅田川 謡曲
「人商人(ひとあきびと)に誘はれて、ゆくへを聞けば逢坂(あふさか)の」
[訳] 人買いにさらって行かれて行き先を聞くと逢坂の。
③
今後の成り行き。将来。結果。
出典新古今集 雑中
「風になびく富士の煙(けぶり)の空に消えてゆくへも知らぬわが思ひかな」
[訳] 風になびく富士山の煙が空に消えてゆくえもわからない、そのように、今後の成り行きも知れない私の思いであるなあ。
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