学研全訳古語辞典 |
お・ふ 【追ふ】
活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}
①
追いかける。
出典今昔物語集 二五・一二
「親は、我が子必ずおひて来(きた)らむと思ひけり」
[訳] 親は、我が子が必ず(馬盗人を)追いかけて来ているだろうと思った。
②
追いつく。
出典源氏物語 若菜上
「御車におひて奉れ給(たま)ふ」
[訳] お車に追いついて(手本などを)差し上げなさる。
③
〔「…(地名)を追ふ」の形で〕めざして進む。
出典土佐日記 一・一一
「暁に舟をいだして、室津(むろつ)をおふ」
[訳] 夜明け前に舟を出して室津をめざして進む。
④
追いやる。追い払う。
出典万葉集 一五〇七
「醜(しこ)ほととぎす暁(あかとき)のうら悲しきにおへどおへどなほし来鳴きて」
[訳] 憎いほととぎすが夜明け前のもの悲しいときに追い払っても追い払ってもなおもやって来て鳴いて。
⑤
〔多く「先(さき)(を)追ふ」の形で〕先払いをする。
出典更級日記 大納言殿の姫君
「さきおふ車止まりて、『をぎの葉、をぎの葉』と呼ばすれど」
[訳] 先払いをする車が止まって「荻(おぎ)の葉(=女性の名)、荻の葉」と供の者に呼ばせたが。
⑥
せきたてて進ませる。追い立てる。
出典徒然草 一一四
「賽王丸(さいわうまる)御牛をおひたりければ」
[訳] (牛飼いの)賽王丸がお牛を追い立てていたところ。
⑦
踏襲する。受けつぎ従ってゆく。
出典平家物語 七・平家山門連署
「あるいは累代勲功の跡をおひ」
[訳] 一つには代々の勲功の例を踏襲し。
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