学研全訳古語辞典 |
とほ・し 【遠し】
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
①
遠い。離れている。
出典万葉集 一八〇九
「とほき世に語り継がむと」
[訳] 遠い(後の)世に語りつごうと。
②
疎遠だ。親しくない。
出典万葉集 二七〇一
「石橋(いははし)の(=枕詞(まくらことば))とほき心は思ほえぬかも」
[訳] (あなたに)疎遠な気持ちはもっていないことよ。
③
気が進まない。興味がない。
出典源氏物語 少女
「学問などに身を苦しめむことは、いととほくなむ覚ゆべかめる」
[訳] 学問などで自分を苦しめようとすることは、全く気が進まないことに思われるにちがいないようだ。
④
縁遠い。似ていない。
出典源氏物語 橋姫
「世の常の女しくなよびたる方(かた)はとほくや」
[訳] 世間の普通の女らしくものやわらかなところとは縁遠いのか。
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