学研全訳古語辞典 |
くま 【隈】
①
曲がり角。曲がり目。
出典万葉集 一七
「道のくまい積もるまでにつばらにも見つつ行かむを」
[訳] ⇒うまさけ…。
②
(ひっこんで)目立たない所。物陰。
出典源氏物語 橋姫
「しばし少したち隠れて聞くべき物のくまありや」
[訳] しばらくちょっと隠れて聞くことができる物の陰はあるか。
③
辺地。片田舎。
出典源氏物語 橋姫
「打ち忍びたるすみかも、山里めいたるくまなどに」
[訳] 人目を避けた住居も、山里めいている片田舎などに。
④
くもり。かげり。
出典源氏物語 賢木
「月のすこしくまある立て蔀(じとみ)のもとに」
[訳] 月の光が少しかげりになっている立て蔀のそばに。
⑤
欠点。短所。
出典源氏物語 浮舟
「見れども見れども飽(あ)かず、そのことぞと覚ゆるくまなく」
[訳] (浮舟の容姿は)いくら見ても飽きることがなく、特にこれと思われる欠点がなく。
⑥
隠しだて。秘密。
出典後撰集 秋中
「人の心のくまは照らさず」
[訳] 人の心の中の秘密までは照らし出さない。
⑦
くまどり。歌舞伎(かぶき)で、荒事(あらごと)を演じる役者が顔に施す、いろいろな彩色の線や模様。
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