学研全訳古語辞典 |
かく・る 【隠る】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
①
隠れる。
出典古事記 神代
「青山に日がかくらば」
[訳] 青々と草木の茂った山に日が隠れたら。
②
亡くなる。▽「死ぬ」を遠回しにいう言葉。
出典万葉集 二一〇
「入り日なす(=枕詞(まくらことば))かくりにしかば」
[訳] (妻は)死んでしまったので。◆上代語。
活用{れ/れ/る/るる/るれ/れよ}
①
隠れる。
出典伊勢物語 二三
「思ひ疑ひて、前栽(せんざい)の中にかくれゐて」
[訳] (男は妻のことを)心の中でひそかに疑って、庭の植え込みの中に隠れて座って。
②
亡くなる。▽「死ぬ」を遠回しにいう言葉。
出典大和物語 九八
「左の大臣(おとど)の御母の菅原(すがはら)の君かくれ給(たま)ひけるときに」
[訳] 左大臣の御母の菅原の君がお亡くなりになったときに。
こも・る 【籠る・隠る】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
①
入る。囲まれている。包まれている。
出典古事記 景行
「たたなづく青垣(あをがき)山ごもれる倭(やまと)しうるはし」
[訳] ⇒やまとは…。
②
閉じこもる。引きこもる。
出典伊勢物語 四五
「死にければ、つれづれとこもり居(を)りけり」
[訳] (女が)死んだので、(男は)しみじみとものさびしく引きこもっていた。
③
隠れる。ひそむ。
出典古今集 春上
「春日野(かすがの)は今日(けふ)はな焼きそ若草のつまもこもれり我もこもれり」
[訳] ⇒かすがのは…。
④
寺社に泊りこむ。参籠(さんろう)する。
出典更級日記 物語
「親の太秦(うづまさ)にこもりたまへるにも、異事(ことごと)なくこのことを申して」
[訳] 親が太秦(の広隆寺)に参籠しなさったときにも(お供をして)、ほかの事は何もなくこのことばかりをお願いして。
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