学研全訳古語辞典 |
たち 【館】
①
官舎。貴人や役人が宿泊・居住する所。
出典土佐日記 一二・二一
「住むたちより出(い)でて」
[訳] 住んでいる官舎からでて。
②
邸宅。やかた。
出典源氏物語 明石
「この浜のたちに心安くておはします」
[訳] この浜の邸宅に(源氏は)気軽においでになられる。
③
小規模な城。
出典平家物語 七・願書
「貞任(さだたふ)がたち厨川(くりやがは)の城(じやう)焼けぬ」
[訳] 貞任の城である厨川城が焼けてしまった。
や-かた 【屋形・館】
①
仮に構えた家。形ばかりの家。また、仮の宿所。
出典古今集 大歌所御歌
「水茎の(=枕詞(まくらことば))岡(をか)のやかたに妹(いも)と吾(あれ)と寝ての朝明(あさけ)の霜の降りはも」
[訳] 岡のほとりの仮に構えた家にあなたと私と寝たその翌朝の霜の降り方はまあ。
②
船・牛車(ぎつしや)・腰車などの上に設けた、家の形をした構造物。
③
貴人や大名などの邸宅・宿所。また、転じて、そこにすむ貴人や大名。
④
「屋形船(やかたぶね)」の略。
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