学研全訳古語辞典 |
め・づ 【愛づ】
{語幹〈め〉}
①
愛する。恋慕する。思い慕う。
出典竹取物語 貴公子たちの求婚
「いかでこのかぐや姫を得てしがな、見てしがなと、おとに聞きめでてまどふ」
[訳] なんとかしてこのかぐや姫を手に入れたいものだなあ、結婚したいものだなあと、うわさに聞いて思い慕って思い乱れる。
②
賞賛する。ほめる。
出典源氏物語 桐壺
「光る君といふ名は、高麗人(こまうど)のめできこえて、付け奉りける」
[訳] 「光る君」という名前は、高麗の国の人がおほめ申して、お付けしたのである。
③
好む。好きになる。気に入る。
出典源氏物語 橋姫
「物の音(ね)めづる阿闍梨(あざり)にて」
[訳] 音楽を好む阿闍梨であって。
活用{で/で/づ/づる/づれ/でよ}
感動する。心がひかれる。感じ入る。
出典万葉集 三七〇四
「もみち葉の散らふ山辺ゆ漕(こ)ぐ舟のにほひにめでて出(い)でて来にけり」
[訳] 紅葉が散りつづける山のあたりを通って、漕ぎ進む舟の照り映える美しい色に心がひかれて、(私は)出て来てしまった。
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