学研全訳古語辞典 |
あらまし
①
願望。期待。予想。
出典徒然草 一八九
「かねてのあらまし、みな違(たが)ひゆくかと思ふに、おのづから違はぬこともあれば」
[訳] かねてからの予想がすべて食い違っていくかと思うと、たまには違わないこともあるので。
②
だいたいの内容やようす。あらすじ。一部始終。
出典好色一代男 浮世・西鶴
「ちかぢか尋ねて無事のあらましを聞かせ申すべし」
[訳] 近々訪ねて、(あなたの)無事なようすをお伝え申し上げよう。
〔多く「に」を伴って〕だいたい。おおよそ。
出典世間胸算用 浮世・西鶴
「既にその年の大晦日(おほつごもり)に、あらましに正月の用意をして」
[訳] すでにその年の大晦日(おおみそか)に、だいたい正月の用意をして。
注意
現代語にない「願望」「期待」などの意味がある。
あら-・まし 【有らまし】
分類連語
あろう。…であろうに。…であればよいのに。
出典万葉集 一六三
「神風の(=枕詞(まくらことば))伊勢の国にもあらましを」
[訳] 伊勢の国にいればよかったのに。
なりたち
ラ変動詞「あり」の未然形+反実仮想の助動詞「まし」
あらま・し 【荒まし】
活用{(しく)・しから/しく・しかり/し/しき・しかる/しけれ/しかれ}
①
激しい。荒い。▽風・波・物音などのようす。
出典源氏物語 橋姫
「いとあらましき水の音」
[訳] とても激しい流れの音。
②
荒々しい。乱暴だ。▽人の言動・ようす。
出典源氏物語 宿木
「あらましき東男(あづまをとこ)の、腰に物負へる、あまた具して」
[訳] 荒々しい東国の男で、腰に何か物を着けている者を、大勢従えて。
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