学研全訳古語辞典 |
あ・る 【散る・離る】
活用{れ/れ/る/るる/るれ/れよ}
遠のく。離れる。
出典竹取物語 燕の子安貝
「あれて寄りまうで来(こ)ず」
[訳] 離れて寄ってまいりません。
ある 【或る】
ある。▽不確定の人や物事を漠然とさす語。
出典土佐日記 一二・二一
「ある人、県(あがた)の四年(よとせ)五年(いつとせ)果てて」
[訳] ある人が、任国での四、五年の任期が終わって。◆ラ変動詞「あり」の連体形から変化した語。
あ・る 【生る】
活用{れ/れ/る/るる/るれ/れよ}
(神や天皇など神聖なものが)生まれる。
出典万葉集 二九
「玉だすき(=枕詞(まくらことば))畝傍(うねび)の山の橿原(かしはら)のひじりの御代ゆあれましし神のことごと」
[訳] 畝傍の山の橿原の天皇(=神武天皇)の御代以来お生まれになった天皇のすべてが。
あ・る 【荒る】
活用{れ/れ/る/るる/るれ/れよ}
①
荒れる。荒れ騒ぐ。
出典土佐日記 一・九
「海はあるれども、心は少しなぎぬ」
[訳] 海は荒れるけれども、心はいくらか穏やかになった。
②
荒れ果てる。荒廃する。
出典万葉集 三三
「あれたる都見れば悲しも」
[訳] 荒れ果てた都を見ると悲しいことよ。
③
すさむ。
出典土佐日記 二・一六
「家に預けたりつる人の心も、あれたるなりけり」
[訳] (留守中)家に預けておいた人(=家を託してあった留守番の人)の心もまた、(この家と同様に)すさんでいたのだ。
④
興ざめする。
出典平家物語 五・文覚被流
「御遊(ぎよいう)もはやあれにけり」
[訳] 管弦のお遊びはもう興ざめしてしまった。
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