学研全訳古語辞典 |
あれ-や
分類連語
①
あるのだろうか。あるからか。あるから…のか。
出典万葉集 一八八三
「ももしきの(=枕詞(まくらことば))大宮人(おほみやひと)は暇(いとま)あれや梅をかざしてここに集へる」
[訳] 宮廷に仕える人たちはゆとりがあるからか、梅を髪に挿してここに集まっていることだ。▽「や」は疑問を表す。
②
あるとでもいうのか(そんなことはないのに)。
出典万葉集 三二
「古(いにしへ)の人にわれあれやさざなみの故(ふる)き京(みやこ)を見れば悲しき」
[訳] 私が昔の人であるとでもいうのか(そんなことはないのに)、このさざなみの(近江(おうみ)の)古い都を見ると悲しいことだ。▽「や」は反語。「…あれや」は逆接で下に続く。
③
あるか、(いや、ありはしない)。
出典万葉集 四一一三
「慰むる心し無くは天離(あまざかる)鄙(ひな)に一日(ひとひ)もあるべくもあれや」
[訳] (自分を)慰める心がなければ、都から遠い田舎に一日たりともいられるはずがあろうか、(いやいられるはずもない)。▽「や」は反語。下に続かない場合。◆「や」が詠嘆を表す場合もあるとの説がある。
なりたち
ラ変動詞「あり」の已然形+係助詞「や」
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