学研全訳古語辞典 |
いとま 【暇】
①
ゆとり。ひま。余暇。
出典万葉集 一八八三
「ももしきの(=枕詞(まくらことば))大宮人はいとまあれや梅をかざしてここに集(つど)へる」
[訳] 宮廷に仕える人はゆとりがあるからか、梅を髪にさしてここに集まっていることだ。
②
休み。休暇。
出典源氏物語 桐壺
「まかでなむとし給(たま)ふを、いとまさらに許させ給はず」
[訳] (桐壺更衣(きりつぼのこうい)は宮中から)退出しようとなさるけれども、(帝(みかど)は)少しも休みをお許しにならない。
③
辞任。辞職。
出典宇津保物語 楼上・上
「院にいとま申し侍(はべ)りしを」
[訳] 院に辞任を申し出ましたが。
④
別れ。離別。離婚(状)。
出典西鶴織留 浮世・西鶴
「いとま書きてらちをあけける」
[訳] 離婚状を書いて決着をつけた。
⑤
別れのあいさつ。いとまごい。
出典源氏物語 蓬生
「忍びて対(たい)の上に御いとま聞こえて、出(い)で給(たま)ふ」
[訳] こっそりと対の屋の紫の上にお別れのあいさつを申し上げて、お出かけになる。
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