学研全訳古語辞典 |
いとほ・し
活用{((しく)・しから/しく・しかり/し/しき・しかる/しけれ/しかれ)}
①
気の毒だ。かわいそうだ。
出典竹取物語 かぐや姫の昇天
「翁(おきな)をいとほしく、かなしと思(おぼ)しつることも失せぬ」
[訳] 翁を気の毒で、ふびんだとお思いになっていた気持ちも(かぐや姫の心から)消えてしまった。
②
かわいい。
出典源氏物語 少女
「宮はいといとほしと思(おぼ)す中にも、男君の御かなしさはすぐれ給(たま)ふにやあらん」
[訳] 大宮は(孫たちを)とてもかわいいとお思いになるその中でも、男君(=夕霧)のおかわいさは(他の子よりも)まさっていらっしゃるのだろうか。
③
困る。いやだ。
出典源氏物語 蛍
「人の上を、難つけ、おとしめざまの事言ふ人をば、いとほしきものにし給(たま)へば」
[訳] 他人の身の上について、欠点を指摘し、さげすむようなことを言う人を、困った人間と考えなさるので。
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