学研全訳古語辞典 |
いぶせ・し
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
①
気が晴れない。うっとうしい。
出典源氏物語 須磨
「一、二日たまさかに隔つるをりだに、あやしういぶせき心地するものを」
[訳] 一日二日たまに(あなたと)間を置くときでさえ、不思議なほど気が晴れない思いがするのに。
②
気がかりである。
出典源氏物語 夕顔
「今一度かのなきがらを見ざらむが、いといぶせかるべきを」
[訳] もう一度あの遺体を見ないとしたら、それがひどく気がかりにちがいないから。
③
不快だ。気づまりだ。
出典徒然草 一五四
「やがてその興(きよう)尽きて、見にくく、いぶせく覚えければ」
[訳] すぐにその興味がなくなって、見苦しく、不快に感じられたので。
参考
「いぶせし」と「いぶかし」の違い 「いぶせし」は、どうしようもなくて気が晴れない。「いぶかし」はようすがわからないので明らかにしたいという気持ちが強い。
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