学研全訳古語辞典 |
う
《接続》動詞の未然形に付く。
活用{う/○/う/う/○/○}
①
〔推量〕…だろう。…う。
出典宗論 狂言
「同道致すも、他生の縁でかなござらうぞ」
[訳] 連れ立って参りますのも、多く生まれ変わる間に結ばれた因縁ででもございましょうぞ。
②
〔意志〕…う。…よう。
出典平家物語 九・一二之懸
「死なば一所で死なう」
[訳] 死ぬならば同じ所で死のう。
③
〔仮定・婉曲(えんきよく)〕…ならば。…ような。
出典平家物語 四・橋合戦
「馬の足及ばうほどは、手綱をくれて歩ませよ」
[訳] 馬の足が(川底に)届くようなうちは、手綱をゆるめて(馬を)歩かせよ。
④
〔適当・当然〕…するのがよい。…するのが当然だ。…すべきだ。
出典天草伊曾保 獅子と犬と狼と豹との事
「人はただ我に等しい人を伴はうことぢゃ」
[訳] 人間はひたすら自分に等しい(身分の)人を連れ添うのがよいことなのだ。
参考
意味・用法は助動詞「む」と同じ。
語の歴史
助動詞「む」が「ん」となり、さらに「う」に変化した語。平安時代の末に現れ、鎌倉時代以降「む」に代わって用いられ、現代語に続く。
う 【憂】
⇒うし。
出典古今集 雑上
「事しあればまづ嘆かれぬあなう世の中」
[訳] 何かあるとまずため息が出てしまうああつらい世の中よ。
注意
多く「あな憂(=ああつらいことよ)」「心憂(=気がめいる)」の形で用いられる。
う 【得】
活用{え/え/う/うる/うれ/えよ}
①
手に入れる。自分のものにする。
出典竹取物語 貴公子たちの求婚
「いかで、このかぐや姫をえてしがな、見てしがなと」
[訳] どうにかしてこのかぐや姫を手に入れたいものだなあ、結婚したいものだなあと。
②
得意とする。優れる。
出典古今集 仮名序
「これかれえたるところ、えぬところ、互ひになむある」
[訳] それぞれ得意としている点、得意としない点がお互いにある。
③
〔多く「心を得」「意を得」などの形で〕理解する。
出典今昔物語集 二九・一八
「盗人(ぬすびと)これを見るに、心もえねば」
[訳] 盗人はこれを見るが、意味もわからないので。
④
〔用言の連体形に名詞「こと」に格助詞「を」の付いた「ことを」の付いた形に続けて〕…を可能とする。…できる。
出典今昔物語集 六・二一
「汝(なんぢ)が寿命を延ぶることをえたり」
[訳] おまえの寿命を延ばすことができた。
活用{え/え/う/うる/うれ/えよ}
〔動詞の連用形に付いて〕…(することが)できる。
出典徒然草 二一五
「『これぞ求めえて候ふ』と申ししかば」
[訳] 「これを見つけることができました」と申し上げたところ。
注意
ア行に活用する動詞は、「得」とその複合語「心得(う)」「所得(う)」などだけ。
-う 【宇】
建物や屋根などを数える語。「一うの御堂(みだう)」
う 【卯】
①
「十二支(じふにし)」の第四。
②
時刻の名。午前六時。また、それを中心とする二時間。
③
方角の名。東。
う 【鵜】
水鳥の名。鵜飼いに使われる。[季語] 夏。
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