学研全訳古語辞典 |
こと-ごと 【事事】
一つ一つのこと。諸事。
出典徒然草 一八八
「ことごとなす事なくして、身は老いぬ」
[訳] 諸事完成することがなくて、我が身は年をとってしまった。
こと-ごと 【尽・悉】
①
すべて。全部。残らず。
出典万葉集 七九七
「悔しかもかく知らませばあをによし(=枕詞(まくらことば))国内(くぬち)ことごと見せましものを」
[訳] 残念なことだ。こう(=妻がこんなにも早く死ぬ)と知っていたなら、この国をすべて見せてやったのになあ。
②
まったく。完全に。
出典栄花物語 根合はせ
「二葉(ふたば)よりことごと疑ひなく后(きさき)がねとかしづき聞こえ給(たま)へるに」
[訳] 幼少のころからまったく疑いもなく皇后の候補者として大切にご養育申し上げなさっていたのに。
こと-ごと 【異事】
別のこと。ほかのこと。
出典更級日記 大納言殿の姫君
「ことごとに言ひなして笑いなどして聞けば」
[訳] (姉は)ほかのことに言いまぎらわして笑ったりして聞くと。
こと-ごと 【異異】
別々に。それぞれに。
出典古今集 冬
「たれかことごと分きて折らまし」
[訳] だれが花と雪とをそれぞれに区別して手折ることができようか。
ことごとのページへのリンク |