学研全訳古語辞典 |
さるほど-に 【然る程に】
①
そうこうしているうちに。そうする間に。
出典平家物語 三・足摺
「さるほどに、少将や判官(はんぐわん)入道も出(い)で来たり」
[訳] そうこうしているうちに、少将や判官入道も出て来た。
②
さて。ところで。▽話題を転ずるとき、または新しい話を切り出すときに、冒頭におく語。
出典平家物語 一・殿下乗合
「さるほどに、嘉応(かおう)元年七月十六日、一院御出家あり」
[訳] さて、嘉応元年七月十六日に、一院(=法皇・上皇が二名以上いるときの上位の者)がご出家なさる。
③
それにつけても。さてもさても。それはそれは。▽軽い感動を表し、副詞的に用いる。
出典世間胸算用 浮世・西鶴
「さるほどに、憎い鼠(ねずみ)め」
[訳] さてもさても、憎らしいねずみめ。
参考
ラ変動詞「さり」の連体形「さる」に、名詞「ほど」、格助詞「に」が付いて一語化したもの。①が本来の用法で、「さて」「かくて」などに対して、やや固い表現として和漢混交文で用いられ、軍記物語や御伽(おとぎ)草子で多用された。②は中世以後の用法。
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