学研全訳古語辞典 |
しの-に
①
しっとりとなびいて。しおれて。
出典万葉集 二二五六
「秋の穂をしのに押しなべ置く露の」
[訳] 秋の稲穂をしっとりなびくように一面に置く露の。
②
しんみりと。しみじみと。
出典万葉集 二六六
「淡海(あふみ)の海夕波千鳥汝(な)が鳴けば心もしのに古(いにし)へ思ほゆ」
[訳] ⇒あふみのうみ…。
③
しげく。しきりに。
出典新古今集 恋二
「あふことはかたのの里のささの庵(いほ)しのに露散る夜半(よは)の床かな」
[訳] 会うことが難しいので交野(かたの)の里の笹(ささ)の庵の篠竹(しのだけ)に置く露のように、私の夜の床はしきりに涙の露にぬれていることだ。
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