学研全訳古語辞典 |
しふ 【執】
執着心。執念。
出典源氏物語 幻
「この世にしふとまるべき事なく」
[訳] この世に執着心がとどまるようなことがなく。
し・ふ 【強ふ】
活用{ひ/ひ/ふ/ふる/ふれ/ひよ}
無理に押しつける。しいる。
出典万葉集 二三六
「不聴(いな)と言へどしふる志斐(しひ)のが強(し)ひ語り」
[訳] いやだと言うのにしいる志斐ばあさんの押しつけ話を。
し・ふ 【癈ふ】
活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}
目や耳などの感覚がまひする。身体の器官がだめになる。老いぼれる。
出典万葉集 一七八三
「松反(がへ)り(=枕詞(まくらことば))しひてあれやは三栗(みつぐり)の(=枕詞)中上(なかのぼ)り来(こ)ぬ麻呂(まろ)といふ奴(やつこ)」
[訳] 老いぼれてしまったのか。中上り(=国司の、在任中の上京)もして来ない。麻呂というやつは。
活用{ひ/ひ/ふ/ふる/ふれ/ひよ}
[一]に同じ。
出典今昔物語集 一四・三六
「身に重き病を受けて、たちまちに二つの耳しひぬ」
[訳] 身に重病をおって、あっという間に両耳がだめになって(=聞こえなくなって)しまった。
し・ふ 【誣ふ】
活用{ひ/ひ/ふ/ふる/ふれ/ひよ}
作りごとを言う。こじつける。
出典日本書紀 欽明
「しひ欺ける網穽(あみあな)に陥(お)ち罹(かか)りて」
[訳] 作りごとを言いだましているわなに落ち引っかかって。
しふ 【集】
漢詩・和歌・文章などを集めた書物。
出典枕草子 ありがたきもの
「物語・しふなど書き写すに、本に墨つけぬ」
[訳] 物語や歌集などを書き写すときに原本に墨をつけないこと。
しふのページへのリンク |