学研全訳古語辞典 |
そでひちて…
分類和歌
「袖ひちてむすびし水の凍れるを春立つ今日の風やとくらむ」
出典古今集 春上・紀貫之(きのつらゆき)
[訳] 夏の日の袖がぬれるまでにして手にすくった水が、冬の間凍っていたのを、立春の今日の風が解かしていることであろう。
鑑賞
季節の推移を水の変化(水↓氷↓水)によって巧みに表現して、立春を迎えた喜びを詠んだもの。「むすび」は「掬(むす)び」と「結び」との、「春」は「張る」との、「立つ」は「裁つ」との掛け詞(ことば)。「結ぶ」「張る」「裁つ」「とく(解く)」は、「袖」の縁語。末尾の「らむ」は係助詞「や」の結びで、助動詞「らむ」の連体形である。
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