学研全訳古語辞典 |
それ-がし 【某】
①
だれそれ。だれだれ。▽不定称の人称代名詞。名のはっきりしない人、または知っていても明らかにする必要のない人をぼかしてさす。
出典蜻蛉日記 中
「ただ今、殿より御文(ふみ)もて、それがしなむ参りたりつる」
[訳] 今、ご主人からの御手紙をもって、だれそれが参上した。
②
私。▽自称の人称代名詞。男性が少し謙そんして用いる。
出典宇治拾遺 四・一一
「それがし、おほくの丈六を作り奉れり」
[訳] 私が、たくさんの一丈六尺の仏像をお作り申し上げた。
参考
②は鎌倉時代以後。室町時代以後は②の意のみとなり、①の意には「なにがし」が用いられる。
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