学研全訳古語辞典 |
たま-さか・なり 【偶なり】
活用{なら/なり・に/なり/なる/なれ/なれ}
①
偶然だ。たまたまだ。
出典源氏物語 若紫
「たまさかに立ち出(い)づるだに、かく、思ひの外(ほか)なることを見るよ」
[訳] 偶然に出かけてきてさえ、このように思いがけないことを見るよ。
②
まれだ。ときたまだ。
出典枕草子 五月の御精進のほど
「あやしき法師、下衆(げす)のいふかひなきのみ、たまさかに見ゆるに」
[訳] 身分の低い法師、下僕のみすぼらしい者をのみ、まれに見るが。
③
〔連用形を仮定条件を表す句の中に用いて〕万一。
出典竹取物語 火鼠の皮衣
「もし、天竺(てんぢく)にたまさかに持(も)て渡りなば」
[訳] もし、インドに万一持ってきていたならば。
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