学研全訳古語辞典 |
ひら・く 【開く】
活用{け/け/く/くる/くれ/けよ}
①
咲く。
出典源氏物語 賢木
「それもがと今朝ひらけたる初花に劣らぬ君が匂(にほ)ひをぞ見る」
[訳] それがほしいと待たれて今朝咲いたゆりの最初の花にも負けないあなたの美しさを私は見る。
②
始まる。起こる。明ける。興る。
出典古今集 仮名序
「天地(あめつち)のひらけ始まりける時より」
[訳] (和歌は)天と地がおこり始まった時から(よまれた)。
③
盛んになる。繁栄する。
出典大鏡 後一条
「入道(にふだう)殿の御栄花(えいが)も何によりひらけ給(たま)ふぞ」
[訳] 入道殿下のご栄華も何が原因で盛んになられたのであろう。
活用{か/き/く/く/け/け}
①
あく。広がる。ひらく。ひらける。
出典奥の細道 出羽三山
「三尺ばかりなる桜の、つぼみ半ばひらけるあり」
[訳] 三尺ほどの桜で、つぼみが半分ひらいているのがある。
②
逃げる。退散する。帰る。終える。
出典太平記 一五
「ただまづ筑紫(つくし)へ御ひらき候(さうら)へかし」
[訳] さしあたってはまず筑紫の国へお逃げください。
活用{か/き/く/く/け/け}
①
あける。ひらく。あけ広げる。
出典枕草子 頭の弁の、職にまゐり給ひて
「孟嘗君(まうさうくん)のにはとりは、函谷関(かんこくくわん)をひらきて」
[訳] 孟嘗君のにわとりは、函谷関という関所の扉を開いて。
②
明らかにする。解き明かす。
出典太平記 二五
「不審をひらかんために尋ね申しつるなり」
[訳] 疑問を明らかにするためにお尋ね申し上げたのだ。
③
盛んにする。繁栄させる。
出典平治物語 下
「一生の春の風にひらき」
[訳] (唐の太宗は仏教興隆の功徳(くどく)により)生涯を春風のごとく繁栄させ。
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