学研全訳古語辞典 |
みよしのの…
分類和歌
「み吉野の象山(きさやま)の際(ま)の木末(こぬれ)には幾許(ここだ)も騒く鳥の声かも」
出典万葉集 九二四・山部赤人(やまべのあかひと)
[訳] 吉野の象山の山あいの木々の梢(こずえ)で、こんなにもおびただしく騒いでいる鳥の声よ。
鑑賞
吉野行幸に随行したときの歌で、たくさんの鳥の鳴き声を中心にして、山中のさわやかな明け方の情景を詠んで行幸の地をたたえたもの。
みよしのの…
分類和歌
「み吉野の高嶺(たかね)の桜散りにけり嵐(あらし)も白き春のあけぼの」
出典新古今集 春下・後鳥羽院(ごとばゐん)
[訳] 吉野山の高い峰の桜が散ってしまったなあ。落花のために、激しく吹き下ろす山風までも白く見える春のあけぼのよ。
鑑賞
吉野山は平安時代以来の桜の名所。「嵐も白き」という表現に、独創的な感覚の鋭さが見られる。
みよしのの…
分類和歌
「み吉野の山かき曇り雪降ればふもとの里はうちしぐれつつ」
出典新古今集 冬・俊恵(しゆんゑ)
[訳] 吉野の山が一面に曇って雪が降ると、ふもとの里はしきりにしぐれが降ることだ。
鑑賞
吉野は古代から信仰の地として名高く、天皇家の離宮もあった。吉野山は『新古今和歌集』のころから桜の名所としても知られる歌枕(うたまくら)。山とふもとの里、雪としぐれを対比させて、広大な景色を客観的に詠んでいる。鴨長明(かものちようめい)の『無明抄(むみようしよう)』によると、作者俊恵の自賛歌であったという。
みよしのの…
分類和歌
出典百人一首
「み吉野(よしの)の山の秋風小夜(さよ)更(ふ)けてふるさと寒く衣打つなり」
出典新古今集 秋下・藤原雅経(ふぢはらのまさつね)
[訳] 吉野山の秋風に夜は更けて、古い都のあった吉野の里はひとしお寒くなり、(砧(きぬた)で)衣を打っている(その寒々とした音が聞こえる)ことよ。
鑑賞
本歌は『古今和歌集』冬「み吉野の山の白雪(しらゆき)積もるらしふるさと寒くなりまさるなり」。
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