学研全訳古語辞典 |
よ-づ・く 【世付く】
活用{か/き/く/く/け/け}
①
世間一般と同じようすである。世間並みである。
出典源氏物語 夢浮橋
「紙の香(か)など、例のよづかぬまで染みたり」
[訳] 紙の香などは例によって世間並みでないほどに染みている。
②
世慣れる。世間の事に通じる。
出典源氏物語 若菜上
「御几帳(きちやう)ども、しどけなくひきやりつつ、人げ近く、よづきてぞ見ゆるに」
[訳] 御几帳などを、乱雑に片寄せたままで、人の気配が近くて世慣れて見えるので。
③
物心がつく。男女の情愛を解する。
出典源氏物語 若紫
「『この君やよづいたるほどにおはする』と思(おぼ)すらむ」
[訳] 「この姫君は、男女の情愛を解している年ごろでいらっしゃる」とお思いになるだろう。
④
世俗に染まる。俗っぽくなる。
出典徒然草 二三
「なほ九重の神さびたる有り様こそ、よづかず、めでたきものなれ」
[訳] やはり宮中の神々しいありさまは、俗っぽくなく、すばらしいものだ。
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