学研全訳古語辞典 |
をと-こ 【男】
①
若い男。元服して一人前になった男。
出典義経記 一
「十九にてをとこになして、鎌田三郎正近(かまだのさぶらうまさちか)とぞ申しける」
[訳] 十九歳で元服して、鎌田三郎正近と申した。
②
男。成人男性。
出典土佐日記 一二・二一
「をとこもすなる日記(にき)といふものを」
[訳] 男も書くという日記というものを。
③
夫。恋人である男。
出典更級日記 太井川
「乳母(めのと)なる人はをとこなどもなくなして」
[訳] 乳母である人は夫なども亡くして。
④
在俗男性。
出典徒然草 九〇
「そのやすら殿は、をとこか法師か」
[訳] そのやすら殿という人は、在俗男性か僧侶(そうりよ)か。
⑤
召使いの男性。下男。
出典源氏物語 若紫
「をとこどもぞ御簾(みす)の外にありける」
[訳] 下男たちが御簾の外にいた。
参考
「をとこ」と「をのこ」の違い 「をとこ」は、古くは「をとめ」と対応して年若い男性をさし、のちに広く「をんな」に対するものとして性を意識して用いるようになった。これに対し、類義語「をのこ」は、男性を意味しても性の意識は少なく、「をとこ」が「夫」を意味することがあるのに対して、「夫」の意味はない。
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