学研全訳古語辞典 |
し 【其】
〔常に格助詞「が」を伴って「しが」の形で用いて〕
①
それ。▽中称の指示代名詞。
出典万葉集 四二五四
「秋の花しが色々に見(め)したまひ」
[訳] 秋の花、それを色さまざまにご覧になり。
②
おまえ。なんじ。▽対称の人称代名詞。
出典万葉集 九〇四
「愛(うつく)しくしが語らへば」
[訳] かわいらしくおまえが語るので。
③
おのれ。自分。▽反照代名詞(=実体そのものをさす代名詞)。
出典万葉集 四〇九四
「老人(おいひと)も女童(をみなわらは)もしが願ふ心足(だ)らひに」
[訳] 老人も女の子も自分が願う心が満足するように。
そ 【其】
それ。その人。▽中称の指示代名詞。前に話題となったものをさす。
出典万葉集 四六六
「わが屋前(には)に花そ咲きたるそを見れど」
[訳] 我が家の庭に花が咲いている。それを見ても。⇒その
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