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命の意味

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学研全訳古語辞典

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いのち 【命】

名詞

生命。寿命。


出典徒然草 五九


「いのちは人を待つものかは」


[訳] 寿命は人間を待ってくれるであろうか、いや待ってはくれない。


生涯。一生。


出典伊勢物語 一一三


「長からぬいのちのほどに忘るるはいかに短き心なるらむ」


[訳] 長くもない生涯なのに私を忘れてしまったとは、何と愛情の足りない心だったのだろう。


死。臨終。


出典蜻蛉日記 下


「今や今日やと待たるるいのち」


[訳] 今か今日かと待っている臨終。


唯一のよりどころ。


出典後撰集 夏


「常もなき夏の草葉に置く露をいのちと頼む蟬(せみ)のはかなさ」


[訳] 変わりやすい夏の草の葉におりる露を唯一のよりどころと頼りにする蟬のはかないことよ。



み-こと 【命・尊】

[一]名詞

神・天皇、または、目上の人の尊敬語。▽「…のみこと」の形で用いる。


出典古事記 神代


「八千矛(やちほこ)の神のみこと」


[訳] 八千矛の尊い神。


出典万葉集 四四三


「たらちねの(=枕詞(まくらことば))母のみこと」


[訳] 尊い母。◆「み」は接頭語。


[二]代名詞

お前。お前さん。▽対称の人称代名詞。


出典今昔物語集 一六・一八


「我とみことと争ひをせむと思ふを」


[訳] おれとお前と争いをしようと思うが。


やつ。その人。▽他称の人称代名詞。


出典今昔物語集 二五・三


「そのみことは、我に挑むべきことかは」


[訳] そのやつは、おれに挑むことができようか、いや、できるはずがない。


参考

(1)[一]は、『日本書紀』では、非常に尊い身分に「尊」、それ以外は「命」と使い分けているが、『古事記』では「命」だけである。(2)[二]は、『今昔(こんじやく)物語集』に見られる人を見くびって呼ぶ用法。



めい 【命】

名詞

運命。天命。


出典十訓抄 九


「めいを知る者は天をうらみず」


[訳] (自分の)運命を理解している者は天を恨まない。


生命。いのち。


出典平家物語 七・返牒


「万死(ばんし)のめいを忘れて一戦の功をたつ」


[訳] 生き残る見込みのないいのちの危険を忘れて一つの戦功をたてる。


命令。言いつけ。


出典平家物語 一二・土佐房被斬


「主君のめいを重んじて」


[訳] 主君の命令を重んじて。



ミョウ 【名・命・明・冥】

⇒みゃう



み-こと 【御言・命】

名詞

お言葉。仰せ。詔(みことのり)。▽神や天皇の言葉の尊敬語。


出典万葉集 四三二八


「大君のみこと畏(かしこ)み磯(いそ)に触(ふ)り海原(うのはら)渡る父母(ちちはは)を置きて」


[訳] 天皇の仰せを謹んで承り、磯を伝い、海を渡っていく。父母を置いたままで。◆「み」は接頭語。上代語。








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