学研全訳古語辞典 |
さび・し 【寂し・淋し】
活用{(しく)・しから/しく・しかり/し/しき・しかる/しけれ/しかれ}
①
(あるべきものがないので)物足りない。活気がない。寂しい。
出典源氏物語 須磨
「所狭(せ)く集(つど)ひし馬・車の、かたもなくさびしきに」
[訳] 場所いっぱいに集まった馬・車が、(今は)跡かたもなくて寂しいところに。
②
もの悲しい。ひっそり静かである。
出典更級日記 子忍びの森
「いとど人目も見えず、さびしく心細くうちながめつつ」
[訳] ますます人の出入りもなくて、もの悲しく心細くもの思いにふけり外を眺めては。
参考
上代の「さぶし」が中古に「さびし」となる。「さみし」は、「さびし」がさらに変化した語。
さぶ・し 【寂し・淋し】
活用{(しく)・しから/しく・しかり/し/しき・しかる/しけれ/しかれ}
心が楽しまない。物足りない。
出典万葉集 四三四
「見れどもさぶし亡き人思へば」
[訳] いくら見ても心が楽しまないことだ。死んだ人のことを思うと。◆中古以後は「さびし」。上代語。
寂しのページへのリンク |