学研全訳古語辞典 |
にく・し 【憎し】
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
①
しゃくにさわる。気に入らない。いやだ。憎らしい。
出典枕草子 にくきもの
「にくきもの。急ぐことあるをりに来て長言(ながごと)するまらうと」
[訳] しゃくにさわるもの。急用があるときにやって来て、長話をする客。
②
感じが悪い。みっともない。見苦しい。
出典徒然草 二〇八
「これは、このごろやうの事なり。いとにくし」
[訳] この結び方は、今ふうのものだ。たいそう見苦しい。
③
あっぱれだ。見事だ。優れている。▽憎く感じるほど優れているようす。
出典保元物語 中
「にくい剛(かう)の者かな」
[訳] あっぱれな勇者であることよ。◇「にくい」はイ音便。
-にく・し 【憎し】
〔動詞の連用形に付いて〕…するのがつらい。…しにくい。
出典源氏物語 桐壺
「いと立ち離れにくき草のもとなり」
[訳] とても立ち去るのがつらい草深い屋敷である。
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