学研全訳古語辞典 |
くら・し 【暗し】
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
①
暗い。
出典徒然草 八九
「飼ひける犬の、くらけれど主を知りて、飛びつきたりけるとぞ」
[訳] 飼っていた犬が、暗いけれど飼い主とわかって飛びついたのだったということだ。
②
わからない。はっきりしない。
出典今昔物語集 一九・九
「この男は跡をくらくして失せにけり」
[訳] この男は行方をわからなくして消えていった。
③
愚かだ。
出典徒然草 一九三
「くらき人の、人を測りて、その智(ち)を知れりと思はん、さらにあたるべからず」
[訳] 愚かな人が他人(の能力)を推測して、その人の知恵(の程度)をわかったと思うようなことは、少しもあたるはずのないことである。
④
不足している。欠けている。
出典国性爺合戦 浄瑠・近松
「七珍(しつちん)万宝(まんぽう)くらからずと申せども」
[訳] あらゆる種類の宝が不足してはいないといっても。
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