学研全訳古語辞典 |
きよ-げ・なり 【清げなり】
活用{なら/なり・に/なり/なる/なれ/なれ}
①
すっきりとして美しい。
出典更級日記 物語
「夢に、いときよげなる僧の黄なる地の袈裟(けさ)着たるが来て」
[訳] 夢に、たいそうすっきりとして美しい僧で、黄色い地の袈裟を着たのが出てきて。
②
さっぱりとしてきれいだ。こぎれいだ。
出典徒然草 一九
「山吹のきよげに、藤(ふぢ)のおぼつかなきさましたる」
[訳] 山吹の花がさっぱりとしてきれいに(咲き)、藤の花がぼんやりとはっきりしないようすをしているのとが。
③
きちんとしている。
出典源氏物語 帚木
「いときよげに消息文(せうそこぶみ)にも仮名(かんな)といふものを書きまぜず」
[訳] たいそうきちんとしていて、手紙にも仮名というものを交えずに書いて。
④
りっぱだ。みごとだ。
出典今昔物語集 三一・一四
「ほどなく、いときよげなる食物(じきもつ)を持て来たりたり」
[訳] まもなくたいそうみごとな食べ物を運んで来たのだった。◆「げ」は接尾語。
参考
「きよげなり」と「きよらなり」との違い 中古には、「きよらなり」は華美・華麗など感嘆するほどの第一級の美を表し、「きよげなり」は清潔な感じのすっきりとした美しさを表し、「きよらなり」に次ぐ美を表した。中世以降、「きよげなり」は広く美一般を表し、用法が拡大した。
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