学研全訳古語辞典 |
し-ぜん(に) 【自然(に)】
①
おのずから。
出典枕草子 世の中になほいと心憂きものは
「しぜんに、宮仕へ所にも親・はらからの中にても、思はるる・思はれぬがあるぞ、いとわびしきや」
[訳] おのずから、宮仕えする所でも、親・兄弟姉妹の中でも、愛される・愛されないがあるのは、とてもつらいことよ。
②
もしも。万一。
出典平家物語 四・競
「しぜんのこと候はば、真っ先駆けて命を奉らん」
[訳] 万一のことがございましたら、真っ先に駆けつけて命を差し上げよう。
注意
現代語に②の意味はない。中世では「しぜん」は②の意味に用いられることが多い。
じねん-に 【自然に】
しぜんに。おのずから。ひとりでに。
出典源氏物語 帚木
「人の品高く生まれぬれば、…じねんにそのけはひこよなかるべし」
[訳] 人が高貴な身分に生まれると、…しぜんにそのようすも格別にすぐれている(ように見える)だろう。
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