学研全訳古語辞典 |
いかにせむ…
分類和歌
「いかにせむ来(こ)ぬ夜あまたのほととぎすまたじと思へば村雨(むらさめ)の空」
出典新古今集 夏・藤原家隆(ふぢはらのいへたか)
[訳] 待とうか待つのをよそうか、どうしようか。来ない夜が多かったほととぎすよ。今夜はもう待たないでいようと思うと、いかにもほととぎすの来そうな村雨の空であることよ。
鑑賞
「頼めつつ来ぬ夜あまたになりぬれば待たじと思ふぞ待つにまされる」(『拾遺和歌集』)〈期待させておきながら来ない夜がたび重なったから、もう待つのはよそうと思う気持ちが、待つよりも強くなったことだよ。〉を本歌としている。本歌の、不実な恋人を待ち続ける切なさが根底にあり、ほととぎすを待つ思いに恋の情緒を重ねている。
いかに-せ-む 【如何にせむ】
分類連語
①
どうしよう。どうしたらよいだろう。▽疑問・困惑の意を表す。
出典枕草子 日のいとうららかなるに
「絶えもしなばいかにせむとならむ」
[訳] もし切れでもしたら、どうしようというのだろう。
②
どうすることができようか(どうしようもない)。▽反語的に嘆きあきらめる意を表す。
出典新古今集 雑下
「いかにせむ身を浮舟(うきふね)の荷を重み」
[訳] どうしようもないことだ。浮舟のような私の身には背負っている荷が重いので。
なりたち
副詞「いかに」+サ変動詞「す」の未然形+推量の助動詞「む」
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