学研全訳古語辞典 |
いたく 【甚く】
①
はなはだしく。ひどく。
出典万葉集 四三二二
「わが妻はいたく恋ひらし飲む水に影(かご)さへ見えて世に忘られず」
[訳] ⇒わがつまは…。
②
うまく。
出典源氏物語 浮舟
「いたくもしたるかな。かけても見及ばぬ心ばへよ」
[訳] うまく(返事を)したものだなあ。まったく見たこともない(感心な)心遣いであるよ。
③
〔下に打消の語を伴って〕それほど。たいして。
出典徒然草 二二九
「よき細工は、少し鈍き刀を使ふと言ふ。妙観(めうくわん)が刀はいたくたたず」
[訳] りっぱな細工師は、少し切れ味のにぶい小刀を使うという。妙観の刀はそれほど切れない。
参考
形容詞「いたし」の連用形から生じた。ウ音便で「いたう」とも。
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