学研全訳古語辞典 |
おこ・す 【起こす】
活用{さ/し/す/す/せ/せ}
①
立てる。立たせる。
出典徒然草 八九
「『こはいかに』とて、川の中より抱(いだ)きおこしたれば」
[訳] 「これはどうしたことだ」と言って、川の中から抱き起こしたところ。
②
目を覚まさせる。
出典枕草子 にくきもの
「そら寝をしたるを、わがもとにある者、おこしに寄り来て」
[訳] たぬき寝入りをしているのを、自分のもとで使われている者が、目を覚まさせに近寄って来て。
③
(火を)つける。おこす。
出典枕草子 春はあけぼの
「いと寒きに、火など急ぎおこして」
[訳] たいそう寒いときに、火などを急いでおこして。
④
生じさせる。(騒動などを)起こす。
出典平家物語 四・競
「今年いかなる心にて、謀叛(むほん)をばおこしけるぞと」
[訳] 今年になってどういう気持ちで、謀叛を起こしたのかと。
⑤
盛んにする。奮い立たせる。
出典源氏物語 夕顔
「君も強ひて御心をおこして、心のうちに仏を念じ給(たま)ひて」
[訳] 光源氏の君も無理にお気持ちを奮い立たせて、心の中に仏を祈りなさって。
おこ・す 【遣す】
活用{せ/せ/す/する/すれ/せよ}
こちらへ送ってくる。よこす。
出典今昔物語集 二五・一二
「おこせたる者は『よき馬』とぞ言ひたる」
[訳] こちらへ送ってきた者は「よい馬だ」と言っていた。
活用{せ/せ/す/する/すれ/せよ}
〔動詞の連用形に付いて〕こちらへ…する。こちらを…する。
出典竹取物語 かぐや姫の昇天
「月の出(い)でたらむ夜は、見おこせ給(たま)へ」
[訳] 月の出ているような夜は、こちらを見てください。
参考
対義語の「や(遣)る」と対にして覚えておこう。
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