学研全訳古語辞典 |
-か・ぬ
〔動詞の連用形に付いて〕
①
(…することが)できない。
出典万葉集 八九三
「飛び立ちかねつ鳥にしあらねば」
[訳] ⇒よのなかを…。
②
(…することに)耐えられない。
出典拾遺集 冬
「思いかね妹(いも)がり行けば」
[訳] 恋しい思いに耐えられないでいとしい女のもとへ行くと。
か・ぬ 【兼ぬ】
活用{ね/ね/ぬ/ぬる/ぬれ/ねよ}
①
兼ねる。あわせ持つ。
出典平治物語 上
「信頼(のぶより)は…大臣の大将をかねたりき」
[訳] 信頼は…大臣で近衛の大将を兼任していた。
②
予期する。予測する。前もって心配する。
出典万葉集 三四一〇
「ねもころに将来(おく)をなかねそ現在(まさか)しよかば」
[訳] いちずに将来を心配するな、現在さえよかったら。◇「予ぬ」とも書く。
③
(一定の区域に)わたる。あわせる。
出典大鏡 師輔
「一町(ひとまち)かねて、あたりに人もかけらず」
[訳] 一町全体にわたって、そのあたりには人も駆け歩かない。
注意
現代語「兼ねる」は①の意味に用いられるが、古語では②③の意味もある。
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