学研全訳古語辞典 |
かなし・ぶ
活用{ば/び/ぶ/ぶ/べ/べ}
(一)
【愛しぶ】
①
かわいいと思う。いとしく思う。
出典今昔物語集 三一・三三
「翁(おきな)・嫗(おうな)、いよいよこれをかなしび愛してかしづきける間に」
[訳] 翁・嫗がますますこの児をいとしく思い、かわいがり大切に育てるうちに。
②
すばらしいと思う。
出典古今集 仮名序
「花をめで、鳥をうらやみ、霞(かすみ)をあはれび、露をかなしぶ心ことば多く」
[訳] 花を賞賛し、鳥をうらやましく思い、霞を趣深く感じ、露をすばらしいと思う心や言葉は多く。
(二)
【悲しぶ・哀しぶ】悲しく思う。悲しむ。
出典土佐日記 一二・二七
「女子(をんなご)のなきのみぞかなしび恋ふる」
[訳] (この土佐で死んだ)娘がここにいないのだけが悲しく恋しく思われる。
【悲しぶ・哀しぶ】
活用{び/び/ぶ/ぶる/ぶれ/びよ}
悲しく思う。悲しむ。
出典万葉集 四四〇八
「今日だにも言(こと)問ひせむと惜しみつつかなしびませば」
[訳] せめて今日一日だけでも言葉を交わそうと、別れを惜しみつつ悲しんでいらっしゃると。◆上代語。
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