学研全訳古語辞典 |
がな
《接続》①体言またはそれに「で」が付いたものに付く。②疑問語またはそれに格助詞が付いたものに付く。
①
〔例示〕…でも。…かなにか。
出典心中重井筒 浄瑠・近松
「私寝言がな申したか」
[訳] 私が寝言でも申しましたのか。
②
〔不定の意〕…か。
出典宇治拾遺 九・三
「何がな取らせんと思へども」
[訳] 何か与えようと思うけれども。
がな
《接続》①体言や格助詞「を」に付く。②命令形に付く。
①
〔願望〕…がある(いる)といいなあ。…がほしいな。
出典平家物語 九・木曾最期
「あっぱれ、よからう敵(かたき)がな」
[訳] ああ、よさそうな敵がいるといいなあ。
出典源氏物語 橋姫
「かの君達(きんだち)をがな」
[訳] あの姫たちがいるといいなあ。⇒てしが・てしがな・にしが・にしがな
②
〔強調・確認・願望〕…くれればなあ。
出典閑吟集
「湊(みなと)の川の潮が引けがな」
[訳] 河口の潮が引いてくれればなあ。◇室町時代以降の用法。
語の歴史
(1)上代の終助詞「もが」に終助詞「も」が付いた「もがも」が、中古に「もがな」となり、「も+がな」と意識されるようになって誕生。(2)『源氏物語』以降、「体言+を+がな」・「体言+がな」の形が多く現れる。
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